遅ればせながらPHP 5.0.5使っていて直しているだろう、と思い込んでいたバグが直っていない事に気が付きました。
PHP内部のphp_stream_passthru()関数はreadfile()やfpassthru()関数に利用されているのですがmmapの使い方がいい加減です。PHP 4.3.xのバグレポートでreadfile()で大きなファイルが読めない旨のバグレポートがあったので全てのブランチで直っている、と思っていたのが間違いでした。
mmapは名前通りファイルをメモリにマップする関数です。メモリマップすることにより典型的なファイルI/Oコードに必要なバッファへのコピー、その後の出力、というステップがメモリからの読み出しと同時に出力、とバッファコピーが減るメリットがあります。
メモリにマップするので色々制限があります。特に32bitシステムでは小さいファイルしか(と言っても2GBくらいのファイルなら取り扱えますが)取り扱えない、メモリ圧迫する(2GBのファイルをマップすると、2GB mallocが失敗するなど)の問題があります。さらに比較的大きなファイルを実際に読み出すとスワップの嵐になるシステムも… 当たり前といえば当たり前の制限です。
と前置きしたのでPHP 5.0.5でどうなっていたかと言うと「mmapをサポートするシステムの場合、ファイル全体をマップする」ようになっています。当然前述のような問題が発生します。そこで2MB以上のファイルはmmapできないようにしています…
PHPAPI char *_php_stream_mmap_range(php_stream *stream, size_t offset, size_t length, php_stream_mmap_operation_t mode, size_t *mapped_len TSRMLS_DC)
{
SNIP
/* For now, we impose an arbitrary 2MB limit to avoid
* runaway swapping when large files are passed thru. */
if (length > 2 * 1024 * 1024) {
return NULL;
}
別にこれ自体はそれほど悪い事(2MBなどと非常に小さい値にしている事は除いて)ではないのですがこのおかげでphp_stream_mmap_range()を利用する、恐らく、ほとんどの関数で2MB以上のファイルを正しく取り扱えなくなっているようです。
中途半端に使える物は使わない方が良いのでmmapを使わせないようにするには
– PHPのランタイムからはstreamのオプションでmmapを使わないよう全てのスクリプトで設定する(iniオプションが無い!)
– 次のパッチを当ててPHPをリビルドする
等として回避する必要があります。
diff -ur php-5.0.5.orig/main/streams/php_stream_mmap.h php-5.0.5/main/streams/php_stream_mmap.h
— php-5.0.5.orig/main/streams/php_stream_mmap.h 2004-02-20 17:22:12.000000000 +0900
+++ php-5.0.5/main/streams/php_stream_mmap.h 2005-10-23 10:23:56.492890384 +0900
@@ -62,7 +62,7 @@
/* Returns 1 if the stream in its current state can be memory mapped,
* 0 otherwise */
-#define php_stream_mmap_possible(stream) (!php_stream_is_filtered((stream)) && php_stream_mmap_supported((stream)))
+#define php_stream_mmap_possible(stream) 0
BEGIN_EXTERN_C()
PHPAPI char *_php_stream_mmap_range(php_stream *stream, size_t offset, size_t length, php_stream_mmap_operation_t mode, size_t *mapped_len TSRMLS_DC);
きちんと直すの事も簡単(チャンク単位でmap, unmapを繰り返す)なのですがとりあえず情報として…
# この問題、開発者が理解してないかも…