構造化設計とセキュアコーディング設計の世界観は二者択一なのか?

構造化設計とセキュアコーディング設計の世界観は二者択一なのか?

プログラミングの「世界観」

で構造化プログラミング/オブジェクト指向プログラミングの世界観(パラダイム)では、抽象化を行い問題を関数やオブジェクトの中に閉じ込める。つまり、プログラムの内部奥深くに”問題”を閉じ込めようとする。

セキュアコーディングの世界観では、”正しくないデータはどう処理しても正しく処理不可能である”プログラム原理と”失敗する物はできる限り早く失敗させる”Fail Fast原則に従い、できる限り問題となる”データ”を早い段階で廃除する、つまり問題を中に入れずに入り口で対策する、と紹介しました。1

一見すると相反するように見えますが、これら2つの世界観を持つ概念は二者択一ではありません。

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JavaScriptでインジェクションリスクがある関数/機能など

Webブラウザに対するJavaScriptコードのインジェクションは

  • サーバー側のコードが原因(サーバー側のPHP、Ruby、Python、JavaScriptが原因)
  • クライアント側のコードが原因(クライアント側のJavaScriptが原因)
  • サーバーとクライアント(上記の両方)

で起きる可能性があります。ここでは主にクライアント側が関係するケースで注意しなければならない箇所を紹介します。

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プログラミングの「世界観」

rustcを通らないコードは間違っているに以下のような記述があります。

「そのコードがRust wayではない」という点で「間違っている」。microなスタイルからmacroな設計まで、ありとあらゆる点でRust的なコードであることを暗黙的ではあるが極めて強く要求する。それがRustというプログラミング言語だ。

Rustはコンパイル時点で可能な限りの正しく実行できないコードが生成されないような言語になっていることは比較的良く知られていると思います。このブログはこの違いを「世界観」が異なるという視点でまとめています。

Rustの場合、マルチスレッドプログラミングでデータ競合が起きないような書き方をしなければならない制約があり、従来のプログラミング言語とは異なる考え方(=世界観)が要求されている。自分のコードは正しくても「Rustの世界観では間違っている」としています。

「世界観」の違いで言語やプログラミング方式を捉える考え方は面白いと思います。

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覚えるパスワードの作り方

覚えなくて構わないパスワード(ブラウザなどのパスワードマネージャーに記憶させる最強のパスワード)の作り方は、

覚えないパスワードは生成する物 〜 余計な文字数制限などは有害 〜

で紹介しました。最強のパスワードを自分で作るのが面倒な方はこのページのランダム文字列から90文字くらいをコピー&ペーストして使ってください。

今回は覚えられる最強のパスワードの作り方です。

備考:あるニュース記事で”ブラウザのパスワード機能は使わない”とする記事がありました。その理由は、離席した場合などにパスワードが表示できる物もあるから、でした。しかし、PCをログインしたままロックもせずに離席すると、ログイン済みならアクセス仕放題、サードパーティー製のパスワードマネージャーを使っていても利用するサービスにはログイン仕放題、です。デバイスの物理セキュリティは何をしていてもある程度は使い方で保証しなければセキュリティは維持できません。

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”形式的検証”と”組み合わせ爆発”から学ぶ入力バリデーション

形式的検証とは

形式的検証(けいしきてきけんしょう)とは、ハードウェアおよびソフトウェアのシステムにおいて形式手法数学を利用し、何らかの形式仕様記述やプロパティに照らしてシステムが正しいことを証明したり、逆に正しくないことを証明することである

英語ではFormal Verificationとされ

formal verification is the act of proving or disproving the correctness of intended algorithms underlying a system with respect to a certain formal specification or property, using formal methods of mathematics.

と説明されています。形式手法として紹介されることも多いです。

参考: 形式検証入門 (PDF)

形式的検証は、記述として検証する方法から数学的にプログラムが正しく実行されることを検証する仕組みまで含みます。数学的な形式的検証では、可能な限り、全ての状態を検証できるようにしてプログラムが正しく実行できることの証明を試みます。

参考:ソフトウエアは硬い (日経XTECHの記事)

契約プログラミング(契約による設計 – Design by Contract, DbC)も形式的検証の1つの方法です。

形式検証の仕組みを知ると、厳格な入力バリデーションが無いと”組み合わせ爆発”により、誤作動(≒ セキュリティ問題)の確率も爆発的に増えることが解ります。

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X-Content-Type-Options: nosniff はIE以外にも必要

往年のWeb開発者であれば X-Content-Type-Options: nosniff はIE専用のオプションHTTPヘッダーだと理解している方が多いと思います。

この理解は正しかったのですが、現在は正しくありません。nosniffはChromeやFirefoxの動作にも影響与えます。このため、IEをサポートしないサイトであっても X-Content-Type-Options: nosniff は必要なHTTPヘッダーです。

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覚えないパスワードは生成する物 〜 余計な文字数制限などは有害 〜

Webサイトにはパスワードの登録に余計な制限をかけているサイトが少なからずあります。特に最悪なのはたった20文字程度のパスワードしか許可しないサイトです。

Webサイトのパスワードは基本的には覚える必要がありません。安全性を第一に考えると十分過ぎるくらいの長さのランダムパスワードを設定する/設定できるようにすると良いです。

参考:覚える場合のパスワードの作り方

TL;DR;

パスワード用のランダム文字列が必要でアクセスした方は以下のURLを参照してください。生成されたランダム文字列の一部、90文字くらい、をパスワードとして使うと安全です。

パスワード用のランダム文字列生成ページ (ランダム文字列を表示します)

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SQLクエリと識別子エスケープの話

Facebookでこんなやり取りをしました。元々公開設定で投稿した物で、議論させて頂いた浅川さんにも「ブログOK」と許可も頂いたので、そのやり取りの部分だけを紹介します。

テーマは「SQLクエリと識別子エスケープ」です。

とあるブログの結論として

“「安全な静的SQLの発行方法」を開発者に啓蒙すればいいだけだ。つまり

  • プリペアドクエリでSQL発行は行うこと
    この場合変数のバインドは必ずプレースホルダを用いること。

SQL文の文字列操作は禁止であり、これほどシンプルなことも無いだろう”

と書かれていました。しかし、私はこの意見に対して

実践的なSQLクエリを書いたことが全くない開発者なのでしょう??
ソートカラム、抽出カラムを指定するSQLクエリでは「識別子(カラム名)が変数」になります。
初歩的なSQLクエリですが”自分が書いたことないから”といって一般的ではないと勘違いしています。行のソート順、抽出カラムを指定するSQLクエリは業務アプリでは”一般的”です。当たり前ですが。

こうやってベストプラクティスもどきのアンチプラクティスが使われて、喜ぶのはサイバー犯罪者とセキュリティ業者だけですよ。

とコメントしました。SQLのテーブルやジョイン結果を「表」として表示した際に、任意のカラムのソート順を指定するUIは、自分で作ったことが無かったとしても、ごく一般的だと分かると思うのですが・・・

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hash_hkdf()でわざわざバイナリキー/バイナリSaltを使うことに意味はない

PHP 7.1で追加された hash_hkdf() は出鱈目なシグニチャを持っています。バイナリキーを使うことを想定して、わざわざ既存のハッシュ関数とは異なり、バイナリハッシュ値だけを返せるようになっています。

暗号化がプログラム内で完結する、といった極一部の例外を除きhash_hkdf()でわざわざバイナリキーを使う意味はありません。

CSRFキーを守るURLを守るAPIキーを守る、といったWebアプリケーションで最も頻繁に使われる鍵導出ではバイナリキー/バイナリSaltは、遅いのでむしろ有害と言えます。わざわざバイナリを使う必要はありません。

参考: HMACハッシュの使い方のまとめ – HAMCですが、HKDFはHMAC based Key Derivation Functionです。多くがHKDFで置き換えられます。HKDFが使える場合、hash_hkdf()を使った方が速くなるでしょう。これはPHPの関数呼び出しのオーバーヘッドが比較的大きいことに起因します。

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Computer Programming Fundamentals and Principles – Input Validation


I had discussion on PHP dev mailing list. It appeared that not few developers misunderstand “What is Input Validations“. Therefore, I summarize computer programming fundamentals and basics to help understanding validations.

Without fundamentals and basics understanding, discussion is meaningless. “Input Validation” is one of the most important countermeasure for cyber attacks. The idea is strongly supported by notable computer scientists (e.g. CMU’s CERT) and security specialists, yet it is misunderstood by majority of developers. Therefore, almost all web applications are missed to have proper “Input Validation” currently.

I came across this discussion too often, so I summarize why, “Input Validation”, “Input Data Validation” or “Application Input Data Validation” especially, is fundamental and mandatory requirement for applications.

TL;DR;

“Application Input Data Validation” and “Business Logic Validation” are 2 different validations by fundamentals and principles. Except few exceptions, ALL web application input data can be validated by “Application Input Data Validation” without user interactions. This achieves more secure state and cleaner/manageable code structure. Thus, applications should implement “Application Input Data Validation” always.

Note: “Application Input Data Validation” is NOT a replacement of “Business Logic Validation”.

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「脆弱性を局所的に潰す」はアンチプラクティス

本物の「セキュアコーディング」(セキュアプログラミング)を知ればもう議論など必要ない、と思っています。本物の「セキュアコーディング」を「知ろうとしない」と幾らでもアンチプラクティスを作ってしまいます。

議論は終り、と思っていたのですがそうも行かないようなので紹介します。セキュアコーディングの概念を全く知ろうとしないで、セキュリティを作るのは「ただの無駄」です。多数のアンチプラクティス/間違いが含まれるスライドの中から(一々指摘するとキリがない)

  • 「脆弱性を局所的に潰す」

これ”だけ”だとアンチプラクティスです。

※ 契約プログラミングが流行らない理由はこいうアンチプラクティスも原因でしょう。特定の良いこと”だけ”を積み重ねても良い結果にならない、ことは合成の誤謬として知られています。

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エンジニアなら理解る文字エンコーディングバリデーションの必要性

入力バリデーションで文字列の妥当性を検証(保証)しないと、不正文字問題の解決はできません。

よく「文字エンコーディングバリデーションは入力バリデーションしなければならない」と紹介はするのですが、その理由を詳しく解説していませんでした。これは文字エンコーディング攻撃の仕組みを理解してれば分かる事なのでしていませんでした。

しかし、文字エンコーディング攻撃の仕組みを理解していても必要なし、とする意見があるので理解り易く説明します。(理解りづらかったら教えてください)UTF-8のみですが、他の文字エンコーディングでも基本は同じです。

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バリデーションですべきこと

このブログは、IPAは基礎的誤りを明示し、正しい原則を開発者に啓蒙すべき、の「追加の情報」として書いた物を別エントリとしてまとめた物です。

CERTセキュアコーディング

  • 入力バリデーション(原則1)
  • ”セキュアコーディング標準”による安全なロジック処理(+具体的な入力/出力処理)※ 原則10 「セキュアコーディング標準を採用する」=自ら作るモノ
  • 出力の無害化(原則7)※ IPA版は原則2

の3つが1つのセットとして成り立ちます。これ以外はセキュアコーディングではありません。

入力、ロジック、出力、これら全てにバリデーションが必要です。

参考: コンピュータは数値さえ正確に扱えない

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