少し前のエントリ、宛先を個人のメールアドレスに設定しているメルマガは迷惑メールに!の続きです。DM業者はどのようにメールを送信すべきか考えました。
これから書く考えはDM送信側ではなく、DM受信側の視点から考えています。
メールの種類
まず簡単にメールを分類します。受信者から見ると
- 自分のアクションが必要な個人宛メール – 問い合わせ、確認等。
- 経緯などを知らせるだけアクションが不必要なメール – 通知、記録等。
- 情報系のメール – メルマガ、ニュース等。
- スパムメール – 勝手に送ってる迷惑メール。
に分類できると思います。
受信する側から見るとそれぞれ適切であると思われる送付先アドレス設定は次の通りでしょう。
- 自分のアクションが必要な個人宛メール – To: 個人メールアドレス
- 経緯などを知らせるだけでアクションが不必要なメール – CC: 個人メールアドレス または BCC: 個人メールアドレス
- 情報系のメール – To: MLまたは発行者のアドレス
- スパムメール – 迷惑メールなので To: 個人メールアドレス でしょう
自分のアクションが必要な個人宛メール
基本的にプライベートなメール、自分のアクションが必要なメール、必ず目を通しておきたいメールです。ショッピングサイトからのメールでも「受注確認」は確認してもし自分からの注文で無い場合は「キャンセル」というアクションが必要です。この様な場合はToに個人アドレスを設定するのは当然だと思います。
アクションの必要なメールがCC、Bcc、送信元のアドレス宛で送信されてきたら困ります。
経緯などを知らせるだけでアクションが不必要なメール
基本的にプライベートなメールです。自分に経緯を連絡するCCに個人アドレスが載っているのは当然でしょう。特にアクションは必要ないが目を通すだけは通しておいて、といった場合に使う為に用意されています。
皆さんご存知とは思いますがCCとはカーボンコピーの略です。申込書等で1枚目を書くと2枚目、3枚目に写せる紙がありますが写したコピーが「カーボンコピー」です。CCとは写しを意味します。BCCとはブラインドカーボンコピーの略です。ブラインド、つまり見えないカーボンコピーの事です。メールを送信先(To)やカーボンコピー(CC)で送信したユーザに見えない様に送信するメールアドレスを設定します。
情報系のメール
非プライベートなメールです。MLやネットショップのメルマガ、ニュースサイトのメールなどがこの分類のメールになります。これらのメールは個人宛でなく、メルマガや発行者のメールアドレス宛になっている方が受信側にとって便利です。
ネットショップやニュースサイトのメールは「送信者」からするとアクション(広告クリック、商品購入)を取ってほしいメールですが、受信者からみると単なる情報メールです。個人宛に送られてきても何か必ずアクションを取る必要があるメールではありません。
スパムメール
元々スパムなので勝手に何でもするのがスパムメールです。最も効果が高いと期待できる個人宛にメールを送信するのは当然でしょう。まっとうな事業者はスパムメールの真似をする必要はありません。
どう送信すると受信側が便利か?
To, Ccに自分のメールアドレスが設定されているメール全てが個人用のプライベートなメールだと受信者は管理が容易になります。
DMを送信する場合、受信側の立場になってアクションが必要なメールかどうか判断して、個人宛とそれ以外に区別するのが理想的だと思います。しかし、個人的な好みの問題もあるので送信先アドレスを
- 発行者のアドレス
- 受信者のアドレス
のどちらかから選べるようにすれば良いと思います。
ネットショップなどの場合でも、受注確認などのメールは個人宛、利用して頂いたお客様に対して広告メールを送信する場合は非個人宛をデフォルトとして送信すると受信者側は非常に便利です。
もし全ての事業者が上記の方法でメールを送信するような状況なれば、個人宛(To, CC)に送信されるメールは必要なメールとスパムメールだけになります。
DM送信先を非個人宛にするメリット
一昔前はメールの振り分けがよく行われてきましたが、現在では減少傾向にあるのではないかと思っています。GMailの場合、メールは振り分けでなくフィルタで検索するようになっています。フィルタは振り分けと同じような動作をします。しかし、振り分けとフィルタでは大きな違いがあります。フィルタの場合は常に受信したメール全体が検索対象になります。
GMailの様なシステムでは to: yohgaki@ohgaki.net でフィルタを作成すると個人宛のメールが全部表示されます。
個人宛のメールがバルクメール(不特定多数向けに送信されたメール)であふれると不必要なメールに「迷惑メールを報告」ボタンを押して消してしまうユーザが多数いても不思議ではありません。
DM送信先を個人宛にしなければ迷惑メールとして処理されてしまう可能性を少なくできます。
メルマガを発行者アドレス宛に送信するのは発行者に不利益があるか?
メール利用者には幾つかの段階があると思います。
- メールを始めたばかりで振り分けなし
- 自分宛のメールとそれ以外に振り分ける
- 宛先、送信者、などから更に細かく振り分ける
- 振り分け自体が面倒になり振り分けなくなる
- メールを読むのが面倒になり以前ほど使わなくなる
- 迷惑メール(DM含む)が多くなり別のメールアドレスに変える
これ以外に、「捨てアド」を使う、「目的別アドレス」を使う、などの道もあります。
メルマガなどのバルクメールを送信する方にとって、1の段階のユーザにはどのような送信先であっても不利益を得る事はないはずです。2と3の段階のユーザであれば個人宛にメールを送信しないことにより不利益を得る可能性があります。私は現在4の段階ですが、この状態になると個人宛のメルマガ系のメールが非常に鬱陶しいです。実際、一部のメルマガ系のメールは迷惑メールとして処理しています。
不利益となるどうかは各段階のユーザ比率とユーザのサービス利用率で決まると思われます。正直な予想を書くと、送信先を個人宛から発行者アドレス等に変更するとDM送信者がメールから得られる利益は減少すると思います。
責任ある企業としてのメール送信の仕方
普通の企業はスパマーではありません。企業の姿勢としてメール受信者(お客様)の立場に立ってメールを送信するようにしてほしいです。たとえ広告収入が主体のメールであっても、広告をクリックしてくれるユーザを単なるメール受信者として扱うのではなく、お客様として扱ってほしいです。
普通の企業が受信者の立場でメールを送っていたなら「捨てアド」などが一般化する事もなかったかも知れません。しかし、現状は残念ながら大手であっても限りなくスパムメールに近い方法、と言われても仕方ない方法でメールを送信しているケースは少なくありません。
特に大手企業には「儲かりさえすれば良い」等と考えず、お客様の利便性(と安全性)を第一に考えたWebサイトやメールの使い方をして見本を示してほしいです。
短期的に多少の不利益があっても、誰もが認めるお客様本意のサービスを行う事は長期的に企業の利益となるのではないでしょうか。
DMにぜひ付けてほしい機能
- ワンクリック購読解除リンク
- ワンクリック送信先変更リンク
システム構成にもよりますが、どちらの機能もそれほど正しく実装すれば大掛かりな仕組みは必要ありません。リクエストが本人からかハッシュでシグニチャを確認すれば良いだけです。データベースを利用する方法やクッキーを利用する方法も考えられます。もし実装したい方でどういうことか分からない場合はコメントください。