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国籍法 – 違憲判決を考える

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最高裁判所は父方が日本人、母方が外国人の場合、嫡出子と非嫡出子の国籍法での取り扱いの違いが違憲であると判断しました。しかし、最高裁の5人の判事は違憲であるとは断定していません。この判決には疑問点や問題点も多くあるのです。以下のURLに、その疑問点や問題点が詳しく解説されています。

国籍法違憲判決の問題点
http://tamacom.com/~shigio/defend/nationality-j.html

私は少し視点を変えて、国籍法の規定と法の下の平等を考えてみます。
そもそも、国籍法で嫡出子と非嫡出子をなぜ区別してたのか理由は何だったのでしょうか?

よく議論に「母親が日本人の場合は、婚姻に関係なく自動的に子は日本人なのに、父親が日本人の場合は、婚姻が条件となり子は自動的に日本人にならないのは平等ではない」と挙げられています。しかし、本当に親の性別により、この区別が作られたのでしょうか?

婚姻要件の区別が作られた理由は親の性別でなく、母親の国籍が区別の理由なのです。母親が日本人である場合、出産は生まれた子が日本人から生まれた子であると容易に証明できます。一方、母親が外国人である場合、出産により生まれた子は外国人であることは容易に証明できますが、日本人の子であることの証明は容易ではありません。最高裁では血統主義を違憲としていません。血統の証明に合理的な疑いの余地がある為、出生前の認知と婚姻を生まれた子の国籍付与の条件としたのです。嫡出子に限る制限は、血縁がある場合でも、国籍取得を目的とした無責任な受胎を防止する効果を持たせていました。嫡出子に限ることに合理性がありました。(前のエントリを参照)従って、婚姻要件は合理的な区別であり、合憲である考えられます。

実は最高裁も同じ考えです。最高裁判所の判決でも立法時には合憲であった、としています。結婚、家族形態が変わり、婚外子が増えた事を違憲の根拠としています。国籍法違憲判決の問題点では0.8%から2.0%となっていますが、衆議院法務委員会の稲田朋美議員の質問では、非嫡出子が1%から1.9%と0.9%変わったことにより、国民の意識が変わったとするのは疑問である、としています。国籍法違憲判決の問題点で詳しく解説されています。

次に、外国人の母親から生まれた子の取り扱いが「法の下の平等」(憲法14条1項)に違反するとの判断ですが事実ではないと考えます。まず「法の下の平等」とは全ての国民が同じように生まれ、育ち、生活する事を保障する事を意味しません。共産主義国家でも「全ての国民が同じように生まれ、育ち、生活する」など実現していません。20世紀の壮大な実験により、共産主義・社会主義は逆に大きな差別と虐待を生むシステムだと証明されています。素人の理解ですが「法の下の平等」とは法的地位やそれに伴う取り扱いで不当に差別する事を意味する、と理解しています。

「法の下の平等」が担保されず違憲とするなら、外国人の母親から生まれた非嫡出子に対する法的地位(外国人であること)により、日本国内における社会保障や教育など日本国民が得られる公的サービスが不当に制限されていなければなりません。しかし、衆議院予算委員会で各担当省庁の官僚が答弁した通り、現在の日本では、外国人も実質的に日本国籍を持つ者と同様の公的サービスを受けられます。つまり外国人の子であっても「法の下の平等」は担保されているのです。

さらに、日本人の父親に認知されている外国人の子の場合も、もちろん帰化が可能です。普通に生活していれば、確実に日本国籍を取得可能です。帰化により平等性は十分担保されます。最高裁判事の横尾和子氏ら3名も、判決文が帰化を『軽視しすぎている』と批判しています。

最高裁判所が違憲としている根拠が不十分であり、裁判官の中でも議論になっていたのです。

「最高裁の判決であっても、間違っているものは間違っている」と衆議院法務委員会で赤池誠章議員も発言しています。私も同意見です。

日本国の最高裁判所が、日本とは全く異なる、海外の状況(日本の婚外子は2%弱、欧州は30〜50%超)を参考するなど「本当に日本国の最高裁判所なのか?」と疑問に思える判決です。

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